調香研究

食品のおいしさと「香り」

香りは、食べ物や飲み物のおいしさに貢献する重要な要素の一つです。フレッシュな絞りたてのオレンジ果汁、甘く濃厚な桃の果肉、香ばしい挽きたてのコーヒー豆など、個々の食品の細やかで繊細な印象の大部分は、実は「香り」によって特徴付けられています。
香料は、飲料や製菓などに幅広く賦香され、香りの面から食品のおいしさを支えています。

 

“感性と科学”の両面から香りを捉え、
お客様のニーズに沿った香料をつくりあげていきます

フレーバリストの感性

香科に配合される素材は、天然香料、合成香科など合わせると数干種類にのぼります。
フレーバリストはそれらの素材の特徴を把握し、組み合わせることで多様な香りを演出します。その組み合わせは膨大ですが、それ故に可能性も無限です。
一人前になるには10年かかると言われる職人的な仕事です。
当社には、分析機器の導入以前から長年培ってきた嗜好性の高い香りづくりのノウハウがあります。それを活かしつつ、新たな香りづくりに繋げるため、旬の食材や一流の料理に触れたり、食の流行を意識したりすることで、日々感性を養っています。

独創的な分析技術との融合

みずみずしい果物の香り、複雑で味わい深いワインやコーヒーの香り、実はそれらは数百種類を超える香気成分の集合体です。おいしい香りの秘密は何なのか、構成する一つ一つの香気成分レベルまで掘り下げ、科学的な視点で読み解く必要があります。
当社では基礎研究部門において、「ひとくち目の香り」「のどごしからの香り」「香りの余韻」など、独創的な切り口で「香り」を捉えた研究を推し進めています。その研究成果は香りをつくりあげる調香研究にとって貴重な情報となり、フレーバリストは日頃からこれらを吟味しユニークな香料開発に繋げています。

お客様の思い描く商品を「香り」の面から的確にサポート

当社では香りをつくる第一歩として、お客様の求める香りをしっかりと共有化することが重要と考え、フレーバリスト自らがお客様を訪問し、直接お客様の表現や表情に触れることも積極的に進めています。
また、このようにして生み出された新たな香料も飲食品の製造における賦香生地や殺菌条件によって香りの立ち方が変わるため、応用研究部門で飲料や製菓に賦香し、実際の商品に近い形で評価します。

図:香料開発の流れ