香りを感じる3ステップ

高田香料では、飲食中のわずかな時間の中で変化する香り成分の挙動を次の3段階に分け、各段階で独自の分析技術を開発し詳細な研究を行っています。

ステップ1: ひとくち目の香り

飲食前、口中に食べ物や飲み物がない状態から、最初のひとくちを口に入れた時に感じる香りに焦点を当てた研究です。ゴクッと飲んだ一息目で口腔から鼻腔に立ちのぼる香りには、飲料の第一印象を決める重要な要素が詰まっています。しかしながらそのたった“ひと息”に含まれる香り成分は非常に微量です。その希薄な香りを当社独自の技術で精密に分析することが可能です。

ステップ2: のどごしからの香り

飲食中、口腔内で揮散した香り成分は鼻腔に達する過程で、その多くが唾液、粘液、粘膜に吸収、吸着され、バランスが大きく変化します。鼻腔到達時の香気を直接捕集、分析することで、飲用時に人がどのようなバランスで香りを感じているかを把握できます。このバランスは、飲食物の周りの空気中に漂っている香り成分のバランスとも異なり、また飲食物自体に含まれている香り成分のバランスとも異なります。人が実際に感じている香り成分を知ることは、リアルで効果的な香料開発の一助となります。

ステップ3: 香りの余韻

飲食後に感じる香りは飲食中のそれとはやや印象が異なります。これは飲食後、口中にわずかに残った飲料や食べ物から徐々に揮発し鼻腔に届く香り成分のバランスが変化するためです。香り成分によって長く香り続けるものからすぐに消えてしまうものなど様々です。ワインやコーヒーのように、飲食後に残る香りが好ましい場合は「心地よく」感じます。まさに「余韻」という言葉がぴったりです。反対に好ましくない香りがいつまでも残る場合は「しつこく」感じてしまいます。
当社では口中での香り成分の挙動を独自に開発した「追尾方式3次元クロマトグラフィー」で追跡することができます。これにより揮散挙動の時間変化をビジュアル化でき、香味の起伏をデザインできる香料開発に繋げています。