梅干し特徴香気の揮散量

2014年8月20日 技術レポート

梅干しは日本人になじみ深い食材で、独特の風味は口の奥を刺激し、思わず唾液が出てしまう。本研究ではAEDAの結果より、acetic acid, 1-octen-3-yl acetateを梅干しの特徴香気成分に選定した。両者を SAFEで蒸留した梅干し溜出液に添加し官能評価したところ、acetic acidは実の固い小粒の梅干しを想起させ、1-octen-3-yl acetateは大粒の柔らかい梅肉、梅干しの塩味を思い起こさせた。それらの上におい、口に入れた時、鼻を通り抜けた時の揮散量を比較したところ、いずれも口に含むと揮散量は著しく減少した。acetic acidは上においの約60%が口中で広がり、20%が鼻から抜け、1-octen-3-yl acetateは上においの10%が口に広がり、ほぼ同等量が鼻を通り抜けた。このような成分による揮散量の違いが、梅干しの香りの感じ方にどのように影響するのか今後検討していきたい。
(第55回 香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会 矢野)

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