口中における香気成分の揮散と化学構造との関連

2014年10月17日 技術レポート

食べ物を飲食する前と飲食しているときでは、香りの印象を異なって受ける。その要因の一つとして口中での香気揮散に対する唾液の影響が報告されている。このような揮散への影響は香気成分の炭素数および官能基等の化学構造や、沸点、溶解度等の物性によって差異があると考えられる。本研究では口腔内モデル装置により、飲料素材に添加した香気成分の揮散率を同族体別に測定し、口内における香気成分の揮散率と化学構造および物性の関連について考察した。推察通り、化学構造や物性により揮散率に差異がみられた。この結果と、各香気成分の極性および無極性カラムにおけるガスクロマトグラフィーの保持指標(R.Index)から、揮散率の予測式を構築した。決定係数R2は0.7以上を示し、予測値と実測値に相関があることが認められた。このことから口内における香気成分の揮散率は、沸点および極性との関連が高いことが示唆された。(第44回 日本味と匂学会 笠松)

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