グレープフルーツ特徴香の飲料への添加効果

2021年10月19日 技術レポート

グレープフルーツは、飲料で人気のフレーバーの一つであるが、一大産地である米国では、グリーニング病の流行により果実の加工量が減少傾向にある。また、グレープフルーツフレーバーには、果実から得られる精油が使用されるが、その中にはGC-Oといったヒトの嗅覚でしか検知できないような極微量成分も存在する。そのような成分は、香気全体に対して特有の影響を与え、フレーバー開発において欠かせない成分となりえる。
フロリダ産グレープフルーツの特徴香気成分を探索したところ、微量成分である
(E,Z)-2,8-tetradecadienal (flavedal®)の存在が認められた。その揮散量の変化を追尾方式3次元ガスクロマトグラフで調べた結果、その挙動は、トップでの揮散は低いが、ミドルからラストへかけて増大していくことが分かった。また、Time Intensity(TI)法による評価の結果、flavedal®添加品した10%果汁入りモデル飲料は、ミドルからラストへかけてボディ感の強度が高くなった。さらに添加量を増やすとボディ感そのものが強く感じられた。flavedal®は口中に残存する限り長く揮散し続け、飲んだ後の香りの余韻としてボディ感へ影響していると考えられる。

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