フライドポテトの香りについて

2014年1月17日 技術レポート

揚げたてのフライドポテトを60分間室温にさらすと、冷めてコゲ臭く、油様のにおいが強くなる。揚げたてと冷めたフライドポテトのヘッドスペース香気成分をSPMEで捕集しGC-においがぎ分析すると、冷めたほうでisobutanal, 3-methylbutanal, 2-methylbutanalが強く感じられた。時間によるそれらの変化量を観察するため、揚げたて(0分)から30分間隔でヘッドスペース香気成分量を測定した1,2)(図1) 。
いずれの成分も60分まで時間依存的に増加するが、isobutanalの増加量は極めて多かった。60分でのisobutanal香気量を算出して、揚げたてのフライドポテトに添加し未添加群との上においを比較したところ、添加群は冷めたフライドポテトの特徴的な香りであるコゲ臭に寄与していた(図2)。一方でisobutanalを添加すると、フライドポテトの脂感を抑制、バター・ミルク様、あげたて感や香ばしさを増強し、未添加群よりも好ましいと評価された。
(第59回 日本食品科学工学会 発表 矢野)

図 1 アルデヒド量の時間推移 1) T. Hayashi et al, J. Assoc. Off. Anal. Chem. 69, 101-105 (1986) 2) K. Umano and T. Shibamoto, J. Agric. Food Chem. 35, 14-18 (1987)

図 2 isobutanal 添加効果 揚げたてのフライドポテトにisobutanalを100ppb 添加し、isobutanal未添加群と比較、パネル8人で官能評価

 

« »